脂肪肝

脂肪肝とは

肝臓の細胞の30%以上に中性脂肪が滴状になってたまっている状態です。運動不足や過食、アルコールの過剰摂取など、主に生活習慣によって起こるため脂肪肝の方が増加傾向にあり、肝臓疾患の中では最も発症数の多い疾患になっています。日本では、健康診断などで検査を受けた方の男性約30%、女性約10%が脂肪肝を指摘されています。脂肪肝は、慢性肝炎や肝硬変の原因になることがあります。さらに進行した場合、肝不全や肝臓がんにもつながる可能性があります。ほとんどの脂肪肝は適切な生活習慣の改善によって改善できます。当院ではライフスタイルなどもうかがいながら、具体的な食事療法や運動療法について詳しくご説明しています。血液検査や腹部超音波検査などを行うことで、きめ細かくフォローして脂肪肝の解消をサポートしています。健康診断などで肝機能障害を指摘されたら早めにご相談ください。

原因

アルコールの過剰摂取、肥満、糖尿病によって発症するケースが多く、脂質異常症(高脂血症)が関わっている場合もあります。また、甲状腺機能亢進症やステロイドなどの薬剤によって生じているケースもあります。

アルコール

1日平均日本酒5合以上(エタノール100g以上)を5日間以上継続する場合、80%以上に脂肪肝が認められるとされています。

肥満

BMI5以上は30%以上に、MI30以上で80%に脂肪肝が認められるとされています。

糖尿病

糖尿病は脂肪肝のリスク要因ですが、脂肪肝はインスリンの効果を低下させるため糖尿病の発症に関わっていることも多くなっています。

分類

脂肪肝は、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に大きく分けられます。区別は、エタノール摂取量で判断し、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は1日のエタノール摂取量が30g以下の場合に診断されます。 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、単純性脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に分けられます。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は肝硬変へ進行するケースがあり、肝硬変や肝臓がんにつながる可能性があるため注意が必要です。

症状

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は基本的に無症状で、健康診断などで肝機能の異常や障害を指摘されて発見されるケースがほとんどを占めます。 アルコール性脂肪肝は、早期にはほとんど症状がありませんが、進行するとアルコール性肝炎やアルコール性肝硬変を発症して、倦怠感・食欲不振、胸やけ・みぞおちの痛み・吐血などの消化器症状、しびれ・歩行障害、抑うつ・睡眠障害などを起こします。進行を防止するためには禁酒が不可欠です。

治療

アルコール性脂肪肝は、禁酒が必須です。禁酒によって肝機能異常や障害の改善が可能になり、アルコール性肝炎やアルコール性肝硬変への進行を抑制できます。禁酒に加えて、タンパク質の摂取、ビタミンやミネラルのバランスがとれた食事を心がけることも有効です。

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は主な原因が過食ですから、中性脂肪となる過剰な脂質を控える必要があります。カロリー制限も不可欠であり、身長から導き出した適性体重1㎏あたり30kcal/日の制限を行います。適性体重は、身長をメートルにしてそれを2乗し、22をかけたものです。肥満がある場合には、現在の体重の7%を最初の目標にして減量します。 中性脂肪を減らすためには、アルコールや脂肪、糖質を制限し、習慣的な有酸素運動を行うことも重要です。また糖尿病や脂質異常症などを合併している場合には、その治療やコントロールも必要です。順調に減量することで、こうした合併症の改善にも大きく役立ちます。

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